
八戸循環器医師が教える心臓リハビリへの栄養学

タンパク質の消化・吸収・輸送
タンパク質食品を摂取すると、胃酸によって変性されタンパク質分解酵素が作用しやすい状態になります。
十二指腸に運ばれると膵液や胆汁が食物に混じり、胃酸により酸性化された食物は中和されます。すると中性下で働くタンパク質分解酵素が作用しアミノ酸へと分解され、小腸上皮粘膜でATP依存の能動輸送で吸収されます。
吸収されたアミノ酸は毛細血管に入り、門脈を通って肝臓に運ばれます。
まずタンパク質を分解するには胃の働き(胃酸)が大切ですね。食事では、酢豚にパイナップル、タンにレモン汁、魚に大根おろしなど胃の働きを促すものが添えられており理にかなっております。
タンパク質とアミノ酸
タンパク質は多種類のアミノ酸がさまざまな形で結合した高分子窒素化合物です。
ヒトの体内で合成することができず、必要量を食品から摂取しなくてはならないものを必須アミノ酸(9種類)。
人の体内で他のアミノ酸、脂肪、糖などを利用して合成できるものを非必須アミノ酸(11種類)。
タンパク質の働き
・すべての細胞の原形質の主成分
・筋肉を構成し、筋収縮などを行う。
・免疫抗体や補体、血液凝固に作用するフィブリノーゲンなどを合成し、生体を防御する。
・生理活性物質であるホルモンを産生して特定の器官の働きを調節する。
・アミノ酸を栄養素として体内に蓄える
・栄養素や酵素などを運搬する。
・エネルギー源として、1kgあたり4kcalを産生する。
・レセプターを構成し、生体情報の伝達を担う。
健康診断の採血で見る項目
・BUN:タンパク質の代謝産物 <10:必須アミノ酸不足
・PGⅠ/PGⅡ(PGⅠは胃底腺領域、PGⅡは胃全体十二指腸腺に存在)
PGⅠ<70mLかつPGⅠ/PGⅡ<3.0は胃の萎縮あり
ご高齢になると胃酸の分泌が弱いうえに胃酸を抑制する胃薬を服用しているため、余計萎縮が進んでいます。
グルタミンを使用しながら胃薬(PPIやH2ブロッカー)を減薬したほうがよいでしょう。




